キャリア

大企業を辞めてスタートアップへ。安定を手放してまで転職する価値はある?

退職金や手当の厚い大企業に残るか、裁量とストックオプションのあるスタートアップに移るか。

大企業には、勤続年数に応じて増える退職金、住宅手当や社宅、名前の通った看板があります。スタートアップには、年次に関係なく任される裁量と、ストックオプションという上振れの可能性があります。大企業からスタートアップへ移る人はここ数年ではっきり増えましたが、住宅ローンの予定や家族の事情まで含めると、向き不向きは人によってかなり違います。手放すものと得るものを、お金と働き方の両面から確かめてみてください。

手短に言うと

半年から1年分ほどの生活費の蓄えがあり、近いうちに住宅ローンを組む予定もなく、自分で事業を動かす経験を何より求めているなら、スタートアップに移る価値は十分にあります。反対に、退職金や住宅手当まで含めた生涯の手取りを重く見る人や、家の購入を控えている人は、今の会社に残るか、転職の時期を工夫したほうが安全です。ストックオプションは出口がなければ現金にならないので、年収は現金だけで比べてください。会社の資金があと何か月もつのかも、入社前に聞いておきたいところです。

テンプレートの天秤

ややノー

デメリットがやや優勢ですが、大差ではありません。

44%
賛成
56%
反対
最も強いメリット

年功序列の昇給を待たずに、成果しだいで役職も年収も上がる

最大のリスク

勤続年数で増えていく退職金や企業年金を、途中で手放すことになる

判断のしくみ

各項目は、あなたがつけた重みで計算されます。サブの論点は親を最大 50% まで強めたり弱めたりできますが、あなた自身の評価が常に主役です。

下の論点をタップしてオフにすると、天秤が動くのが見えます。サブの論点は、その親の重みを変化させます。

メリット

デメリット

自分のものにする

論点と重みをあなたの状況に合わせて調整すると、判断がリアルタイムで再計算されます。

決める前のチェック

  • 今の会社の退職金規程を読み、いま辞めた場合と定年まで勤めた場合の受取額の差を出す
  • 住宅手当、社宅、家族手当、企業型確定拠出年金など、転職でなくなるものを月額に直して合計する
  • オファーの年収は現金だけで比べ、ストックオプションは付与数、行使価額、税制適格かどうかを書面で確認する
  • 面接で、直近の資金調達の時期と、今の資金であと何か月事業を続けられるかを聞く
  • 住宅ローンを組む予定があるなら、転職前に借りるか、勤続1年を過ぎてから申し込むかを決めておく
  • 配偶者や家族に、収入の変化と最悪の場合の備えを数字で説明し、納得してもらっておく

よくある質問

スタートアップのストックオプションは、どのくらい当てにしていいですか?
上場やM&Aで株を売れる日が来なければ、ストックオプションは現金になりません。税制適格の要件を満たしていれば、権利を行使した時点では課税されず、株を売ったときに譲渡所得として約20%の分離課税で済みますが、それも出口があっての話です。年間に行使できる金額には会社の設立年数などに応じて1,200万〜3,600万円の上限があり、設立5年未満の非上場企業では行使期間が付与決議から15年まで延びました。年収の比較は現金だけで行い、オプションは当たればうれしいもの、くらいに考えておくのが無難です。
スタートアップに移ると、退職金はどうなりますか?
退職金制度は法律で義務づけられたものではありません。厚生労働省の令和5年就労条件総合調査では、従業員1,000人以上の企業の90.1%に退職給付制度がある一方、30〜99人の企業では70.1%にとどまり、設立間もない会社では制度自体がないことも珍しくありません。さらに、退職金にかかる税を軽くする退職所得控除は、勤続20年までは1年40万円、20年を超えると1年70万円と、長く勤めるほど有利な設計です。今の会社の規程で、いま辞めた場合と定年まで勤めた場合の差を一度計算してみてください。
スタートアップが倒産したら、給料はもらえなくなりますか?
会社が倒産して給料や退職金が払われないまま退職した場合、国の未払賃金立替払制度により、未払い分の8割を労働者健康安全機構が立て替えます。対象は退職日の6か月前から支払日が来ている定期賃金と退職手当で、賞与は含まれません。上限は退職時の年齢で決まり、30歳以上45歳未満なら176万円です。ただし、事業を始めて1年に満たない会社は対象外なので、創業直後の会社に入るなら、数か月分の生活費を手元に残しておくと安心です。
大企業からスタートアップに移ると、住宅ローンは借りにくくなりますか?
国土交通省の令和7年度の調査では、9割を超える金融機関が勤続年数を審査項目にしていて、下限を設ける機関の多くは「1年以上」としています。勤め先の規模を見る機関は3割台にとどまるため、会社の知名度よりも、転職して間もないことのほうが響きやすいと考えてください。家の購入を考えているなら、大企業に在籍しているうちに借りるのか、転職後に勤続の実績を積んでから申し込むのか、順番を先に決めておくと迷わずに済みます。

退職金や手当の厚い大企業に残るか、裁量とストックオプションのあるスタートアップに移るか。

自分のものにする