ビジネス
副業で育てたスタートアップ、会社を辞めて専念するタイミングは今か
副業として続けてきたスタートアップに、会社を辞めて専念すべきか。それとも会社員のまま、もう少し育てるべきか。
平日の夜と週末だけで動かしてきたスタートアップに、会社を辞めて全力を注ぐかどうか。決め手になるのは、時間さえあれば伸びると言えるだけの手応えがあるか、そして給料がなくなっても何か月持ちこたえられるかです。日本には、退職後に事業を始めた人向けの雇用保険の特例や、法人化した途端にかかる社会保険料など、辞める前に知っておくと計算が変わる制度もあります。
手短に言うと
辞めて専念してよいのは、知り合い以外の有料顧客が増えていて、伸びが止まっている理由が自分の時間不足だとはっきり言える場合です。そのうえで、事業の資金とは別に、住民税と国民健康保険料まで含めて1年ほど暮らせる生活費を用意しておきましょう。手応えがまだ自分の確信しかないなら、就業規則の範囲で副業として続け、需要を確かめるほうが安上がりです。退職後に起業するなら、雇用保険の受給期間を最大3年延ばせる特例をハローワークに申し出ておくと、事業を畳んだときの備えになります。
テンプレートの天秤
ややノー
デメリットがやや優勢ですが、大差ではありません。
挑戦を先送りするほど、子育てや住宅ローンで身動きが取りにくくなる
スタートアップの多くは計画どおりに伸びず、辞めても需要の有無そのものは変わらない
判断のしくみ
各項目は、あなたがつけた重みで計算されます。サブの論点は親を最大 50% まで強めたり弱めたりできますが、あなた自身の評価が常に主役です。
下の論点をタップしてオフにすると、天秤が動くのが見えます。サブの論点は、その親の重みを変化させます。
メリット
デメリット
論点と重みをあなたの状況に合わせて調整すると、判断がリアルタイムで再計算されます。
決める前のチェック
- 伸び悩みの原因が時間不足か需要不足かを、直近3か月の売上と解約の数字で確かめる
- 就業規則の副業規定と、入社時の誓約書にある秘密保持と競業避止の条項を読み直す
- 退職金規程を開き、自己都合で辞めた場合に受け取れる額を把握しておく
- 翌年度の住民税と国民健康保険料を市区町村で試算し、1年分の生活費とは別に取り分ける
- 法人で始めるか個人事業で始めるかを、社会保険料の負担まで含めて税理士と比べる
- 退職後に事業を始めたら、雇用保険の受給期間の特例をハローワークに申し出る
- 住宅ローンやクレジットカードなど、会社員のうちに済ませたい契約を洗い出す
- いつまでに何が達成できなければ再就職するか、家族と期限を決めて書き残す
よくある質問
- 会社を辞めて起業しても、失業保険(基本手当)はもらえますか?
- 事業を始めて、それに専念している間は失業の状態にあたらないため、基本手当は支給されません。そのかわり2022年7月からは、離職後に事業を始めた人が、事業をしている期間を最大3年間、受給期間に数えないよう申し出られる特例ができました。事業を畳んで再就職を目指すことになっても、残っている受給資格で基本手当を受けながら仕事を探せます。条件は事業の実施期間が30日以上あることなどで、適用にはハローワークへの申請が必要です。同じ事業で再就職手当を受け取ると特例の対象から外れるため、どちらを使うかは退職前に窓口で相談しておきましょう。
- 法人を作ると、社会保険料はどうなりますか?
- 株式会社や合同会社を設立すると、社長一人だけの会社でも厚生年金と健康保険の適用事業所になります。役員報酬を払う場合は、会社負担分と本人負担分を合わせた保険料が毎月かかり、どちらも結局は事業のお金から出ていきます。売上が安定するまでは個人事業として始め、国民健康保険と国民年金で過ごしてから法人にする方法もあります。どちらが得かは報酬の額と売上の見込みで変わるので、設立前に税理士に試算してもらうと判断しやすくなります。
- 会社にいるうちに、どこまで準備を進めてよいですか?
- 最初に読みたいのは就業規則の副業に関する規定です。厚生労働省のモデル就業規則は2018年に副業・兼業を原則として認める内容に改められましたが、実際のルールは会社ごとに違い、届け出や許可を求める職場もあります。入社時に出した誓約書の秘密保持や競業避止の条項も確認してください。会社のパソコンや勤務時間を使って作ったものは、会社の権利だと主張されるおそれがあるため、開発は私物の機材で勤務時間外に行うのが安全です。住宅ローンの借り換えやクレジットカードの申し込みなど、会社員の立場が審査で有利に働く手続きも、辞める前に済ませておきましょう。
- 辞める前に、生活費は何か月分あれば安心ですか?
- 売上がゼロでも1年は暮らせる額を、事業の資金とは別に用意しておくと安心です。退職した翌年度も、住民税と国民健康保険料は会社員時代の所得をもとに計算されるため、収入が減ってもすぐには下がりません。自己都合退職だと退職金が規程より少なくなる会社もあるので、当てにする前に金額を確かめてください。家族がいる場合は「いつまでに何を達成できなければ再就職する」という期限を一緒に決めておくと、苦しい時期の話し合いがこじれにくくなります。
副業として続けてきたスタートアップに、会社を辞めて専念すべきか。それとも会社員のまま、もう少し育てるべきか。
自分のものにする